中村家は、「糸屋」または「糸治」と呼ばれた城下町盛岡でも屈指の豪商家で、呉服・古着を中心に商っていた。建物はたびたび改築や修理がおこなわれたが、現在の主屋は文久元年(1861)に造られたものである。 また土蔵は明治期の建築だが、主屋と機能的にも景観のうえからも切り離せないものとして同時に国の重要文化財に指定された。130年余の歴史をもつ町家で白壁の土蔵は明治時代のものだが2階の木格子窓と1階庇廊下の格子戸の調和、それに右手端にある防火用「うだつ」がアクセントとなり美しい姿を見せている。 中村家は屋号「糸洽