東日本大震災を未来に伝える唯一の美術館、気仙沼リアス・アーク美術館

東日本大震災を未来に伝える唯一の美術館、気仙沼リアス・アーク美術館

気仙沼の町を見下ろす高台にあるリアス・アーク美術館。一見どこにでもありそうな普通の美術館ですが、ここには世界中どの美術館にもない展示物があるのです。それは東日本大震災の直後から、自らも被災した学芸員たちが2年にわたって命懸けで撮った被災写真や収集した被災物の数々。その写真に添えられた撮影者の言葉や被災物にまつわる物語が、見る人の心を激しく揺り動かすのです。リアス・アーク美術館は1994年に開館した公立美術館。三陸の海岸地形を表す「リアス」と、「方舟」を意味する「アーク」を組み合わせて名付けられたこの美術館は、旧約聖書の洪水伝説に登場する「ノアの方舟」のごとく、荒波にも似た激しい時代の変化の中においてもこの三陸地域の文化資源を収集して後世に伝えていこうという目的で設立されました。そのため、ここは東北・北海道を中心としたアーティストの現代美術作品や、「食」をテーマに気仙沼・南三陸地域の生活文化を紹介する常設展示や企画展を行う美術館でした。しかし震災後およそ2年にわたる休館を経たのち再開となった2013年4月からは「東日本大震災の記録と津波の災害史」という常設展示を新設、公開しています。この「東日本大震災の記録と津