霊場・出羽三山を巡り、山岳信仰の歴史と神秘にふれる旅

霊場・出羽三山を巡り、山岳信仰の歴史と神秘にふれる旅

日本各地を守護するように点在する山岳霊場の中で、山形県の中央部に位置する月山を主峰とする羽黒山、湯殿山の出羽三山は、今も山の霊場の雰囲気を残しています。1400年以上前、崇峻天皇の第一皇子で聖徳太子の従兄弟である蜂子皇子によって開山したとされ、熊野と並ぶ修験道の霊場を巡ることで死と再生を体験できるという出羽三山。羽黒修験がつくりあげた東北の異空間に、見と心をゆだねる旅に出かけてみましょう。鶴岡市街を抜けたころに、田園を貫くような500Mほどの一直線があり、先に赤く巨大な鳥居を見ることができます。その鳥居をくぐると坂道にかかり、メインの道路を左折すると宿坊街・手向の集落。手向は「トウゲ」と読み、本来山道を歩いていて、道祖神に手向けをすることから転じているものと考えられています。宿坊は寺社参詣の際、信者が宿泊して精進潔斎するための施設で、出羽三山にはその集落が数カ所ありますが、なかでも手向は羽黒山の入口に位置していて規模も大きいのです。道路を挟んだ左右に「○○坊」「××坊」と大書した看板と、門柱と門柱のあいだや軒先に注連縄を張った家々が並んでいて、建物は一種独特な構えで、神社のようでもあり、寺のようにも見え、旅館