弘前は、東北の小京都。そんな言葉を実感させてくれる空間に、訪れました。ここは、真言宗智山派 金剛山最勝院です。慶長十四年(一六〇九年)、弘前藩第二代藩主津軽信牧の時代に建立されたといいます。境内の五重塔は、日本最北のものとして名高くもあります。初代藩主為信による津軽地方平定戦の際に戦没した、将兵の魂を祀るために寄進された、と言われています。その帰依者は三代藩主信義で、明暦二年(一六五六年)に起工しましたが、完成をみたのは四代藩主信政の治世、寛文七年(一六六七年)のことでした。寺院の中は静謐な空気に満ちてい