巻堀神楽は,明治初年に当時の神主であった工藤清等が,盛岡大清水の多賀大明神の社風(みやぶり)神楽を習得して興ったものである。現在は「七代(ななよ)の舞」など21演目を伝承しており,二頭の獅子頭(権現(ごんげん))で舞う「権現舞」,荒舞(あらまい)の「諷誦(ふうしょう)」,神舞の「山の神」,神話をモチーフにした舞踊劇などは山伏神楽の演目を伝承したものである。一方「二柱(ふたはしら)の舞」は,対になった巫女と神官とが軽快なテンポの踏み足で舞う古雅な演目であり,この芸能にのみ有する特徴的なものである。