盛岡で中学・高等農林時代の青春期を過ごした詩人童話作家。賢治の死の一カ月前にあたる8月22日の日付のある文語詩百編の中の一つ。※「かなた」と老いしタピングは 杖をはるかにゆびさせど 東はるかに散乱の さびしき銀は声もなし なみなす丘はぼうぼうと 青きりんごの色に暮れ 大学生のタピングは 口笛軽く吹きにけり 老いたるミセスタッピング 「去年(こぞ)なが姉はこゝにして 中学生の一組に 花のことばを教へしか」 弧光燈(アークライト)にめくるめき 羽虫の群のあつまりつ 川と銀行木のみどり まちはしづかにたそがるゝ